2020.04.23

ヤクルトのドラフト秘話。八重樫幸雄が語る、
いろいろ誤算があった選手たち

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi



「オープン球話」連載第19回 第18回はこちら>>

【「ハズレ、ハズレ1位」で山田哲人を獲得】

――今回も前回に続いて、スカウト時代について伺います。八重樫さんのスカウト2年目となった2010(平成22)年ドラフトは「88年世代」が大卒で指名されました。ヤクルトは「ハンカチ王子」こと、早稲田大学の斎藤佑樹(日本ハム)を1位指名しましたね。

八重樫 正直に言えば、スカウトの間ではこの時の斎藤の評価はあまり高くはなかったんです。大学時代について言えば、大学1年生の時はよくて、2年がダメで、3年でちょっと持ち直したけど、4年生の時にはボールがほとんど来ていなかった。僕がスカウトになる前の話だけど、すでに1年生の時から「うちは大学卒業時に指名する」って、話が決まっていたみたいだけどね。

2010年に「ハズレ、ハズレ1位」でヤクルトに入団した山田哲人 photo by Sankei Visual――抽選の結果、斎藤投手を外したヤクルトは、「ハズレ1位」として、八戸大学の塩見貴洋(楽天)を指名します。塩見投手は八重樫さんの担当選手ですね?

八重樫 「斎藤を指名する」というのはチームの既定路線だったけど、「もしも外したら塩見を1位指名で」と進言したのは僕でした。コントロールがよくて、フォームに柔らかさがあるのが魅力でしたね。あと、目についたのは彼のバッティングのよさ。バットコントロールがよくて、フリーバッティングでもいい打球を飛ばしている。もし投手として結果が出なかったら、野手への転向もできる。それで、投手も打席に立つ「セ・リーグ向きだな」と思って指名しました。