給料未払いで裁判、GM逃亡...無名の日本人投手が体験した海外リーグの現実

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本のみならず、世界中のスポーツ界が大混乱に陥っている。何人かの日本人メジャーリーガーが帰国したように、海外でプレーする日本人選手にとっても不安な日々が続いている。

 そんななか、無名の日本人ベースボールプレーヤー・安井大介(42歳)もそのひとりである。

昨年はグアテマラリーグのロボスでプレーした安井大介昨年はグアテマラリーグのロボスでプレーした安井大介 その風貌は小柄の小太りで、一見、アスリートには見えない。ピッチャーということだが、球速は120キロに届かないという。小・中学校時代は本格的に野球をしたことがなく、高校で始めるも1年の途中で退部。その後、専門学校とクラブチームでプレーしたが、日本での実績は皆無だ。

 それでも安井は、プレーの場を北米や中米の新興プロリーグに求め、20歳から今に至るまで、日本ではフリーター生活を送りながら海外では"プロ野球選手"を続けている。

「下手投げなので、結構通用するんですよ。プレー実績ができれば、ネットや電話で連絡を取って履歴書を送れば、それで採用っていうのもあるんです。バイトはプレーに支障がないように週2、3回がせいぜいですね。この冬はトレーニングに専念しました。場所は近所の河原です(笑)。愛犬と一緒にやっています。実家にいるので生活には困りませんけど......親とはいつもケンカです」

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