和田毅が今もマウンドに上がる理由。復活の支えとなった松坂大輔の姿 (5ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

 その時の言葉を今の和田に伝えると、39歳になった和田は苦笑いを浮かべた。

「そういえば、そんなこと言ってましたね。本当に、大輔のボールはドーンというイメージなんですけど、僕の弓の耐久性は落ちているかもしれません。弦が緩くなったのかな(笑)」

 今年、14年ぶりにライオンズへ復帰した松坂とは今シーズン、投げ合う可能性がある。ふたりが最後に投げ合ったのは、2006年3月30日の福岡。その時は和田が6回を投げて1点に抑え、完投しながら2点を失った松坂に投げ勝っている。

「でも、覚えているのは初めて大輔と対戦した2004年(4月16日)の西武ドームで負けた時のことです。プロ2年目の僕はあの時、大輔に0-1で投げ負けました(松坂は完封、和田も1失点完投)。大輔と投げ合うと言われると、あの時の印象が強いせいか、ビジターのイメージがあるんですよね。だから今年も投げ合うとしたら、なんだか所沢のような気がします」

 松坂世代で現役を続けているのは、和田、松坂の他にはタイガースの藤川球児、イーグルスの久保裕也、渡辺直人の5人だけになった。和田はこう言った。

「僕は若い時から、1つ歳を取るたびにその10年後を見てやってきたつもりです。つまり、今年の僕は29歳の時に見ていた僕なんです。それが間違っていなかったのかなとは思いますね。その頃から積み重ねてきた練習が間違っていなかった......耐久性は多少、落ちているかもしれませんけど、ボールの質については、むしろ若い時よりもいいボールを投げているつもりなんですよ、これでも(笑)」

 年齢を感じさせない見た目と、フレッシュなピッチング――39歳の和田毅は、若いピッチャーとはひと味違う、渋みや深みを醸し出している。

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