和田毅が今もマウンドに上がる理由。復活の支えとなった松坂大輔の姿 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

「あそこで休んでしまったのが逆にダメだったのかもしれません。1カ月後、投げ始めた時にもあまり感じはよくなくて、でも年齢のこともあるし、このくらいの張りはあるんだろうなと思って投げていたんです。何しろ肩を痛めたことがなかったので、投げていくうちに解消していくだろうと、たかをくくっていました」

 今から2年前の2018年のキャンプ、和田は初日からブルペンに入って42球を投げた。さらに中2日ずつあけて63球、78球と球数を増やした。しかし左肩の張りが消えることはなかった。それどころか、肩のなかで「何かがぶつかる感じ」(和田)が出てきて、ノースローに切り替えたが、やがて戦列を離れることになる。

「37歳になろうかという時でしたから、いくらいいフォームで投げていたとしてもあれだけ投げ続けてきたんですから、そういう時期にきたんだろうなと、なんだか妙な覚悟をしていましたね」

 実際、和田は2018年のシーズン、一度も登板することができなかった。ホークスはシーズン2位もクライマックスシリーズを勝ち上がり、日本シリーズでカープを破って日本一を手にした。和田はその戦いを、ずっとテレビで見ていた。何もできない自分を歯痒く思いながら、それでも和田の心が折れることはなかった。地道なリハビリを続け、2018年の秋にはPRP注射(患部に自身の血小板を注入する再生医療)を打ったことを機に、ようやく回復の兆しが見えてくる。

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