甲斐拓也にどこまで迫れるか。4年目九鬼隆平、危機感を持つ「勝負の年」
シート打撃を終え、サブグラウンドに移動したソフトバンクの九鬼隆平は、2歳上の栗原陵矢とともに個別練習に臨んだ。二塁へのスローイング、捕球練習、さらに下半身を鍛えるトレーニング......マスク越しに見せる険しい表情からも、足腰を中心に極限状態まで追い込んだことがよくわかった。
「きついです。でも、守備はずっと課題にしていることなので......。こういう個別練習は1年目から(キャンプでは)1クールごとに必ず1回あります」
昨年は2試合ながら一軍を経験したソフトバンクの九鬼隆平 秀岳館高校(熊本)では4度の甲子園出場経験があり、主将となった3年時は春夏ともにベスト4まで勝ち進んだ。強肩、俊足が持ち味の九鬼は、2016年のドラフトでソフトバンクから3位で指名され入団した。
1年目は二軍ながら開幕早々に出場を果たし、本塁打も放った。夏にはフレッシュオールスターにも出場するなど、順調なスタートを切ったかに見えたが、2年目はケガの影響で出場はわずか15試合。当然ながら、一軍から声がかかることはなかった。
だが3年目の昨シーズンは念願の一軍昇格を果たし、5月26日のロッテ戦ではプロ初打席も経験した。結局、出場は2試合にとどまったが、九鬼にとって今後を見据えるうえでも貴重な経験になった。
「今までの3年間も、キャンプからやれることは毎年やってきたつもりです。でも、実際にシーズンが始まると自分の実力不足を感じます。去年、一軍を経験できたといっても、プロになってまだ何もできていないというのが正直な気持ちです。打撃もまだまだですが、上(一軍)で残っていくには守備しかないと思って、今はそこを重点に置いてやっています」
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