2020.01.21

「バレンティンの穴」を埋めるか。
塩見泰隆は「二軍の帝王」脱却を狙う

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 主砲・バレンティンが退団(ソフトバンクに移籍)したことで、ヤクルトの若手外野手たちに大きなチャンスが訪れている。なかでも期待されるのが、プロ3年目の塩見泰隆だ。魅力はシングルヒットを二塁打に、二塁打を三塁打にできるスピードで、スタンドまで軽々と運ぶパンチ力も備えている。

入団3年目の今季、レギュラー獲りを目指すヤクルト塩見泰隆 宮出隆自ヘッドコーチも塩見のレギュラー獲りを待ち望むひとりだ。

「誰もが彼の持っているポテンシャルを『すごい』と言いますし、技術的な部分でもいいところまできています。トリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)をやってもおかしくない能力はあると思っています」

 前田真吾トレーナは「スプリント能力が魅力です」と言って、こう続けた。

「体のバネやジャンプ力はチーム内で群を抜いています。体的にはまだ伸びしろがあります。筋肉もしっかりついてきていますが、まだ一軍のトップレベルではありません。それでも身体能力の高さは魅力で、外野手でくくれば、柳田悠岐、秋山翔吾、鈴木誠也といった選手に近づけるポテンシャルはあると思っています」

 塩見のこの2年間の"二軍"での成績は、じつに魅力的だ。

2018年 48試合/打率.329/9本塁打/22盗塁/出塁率.418
2019年 74試合/打率.309/16本塁打/23盗塁/出塁率.430

 さらに、2018年の台湾でのウインターリーグでは首位打者を獲得し、昨年のオープン戦では打率2位、盗塁数はトップをマーク。秋のフェニックスリーグでも本塁打王を獲得した。

 だが、舞台を一軍に移すと実力をまったく発揮できず、もどかしい日々が続いている。ちなみに、2年間の一軍での成績はこうだ。

2018年 16試合/打率.040/0本塁打/0盗塁/出塁率.077
2019年 45試合/打率.182/1本塁打/4盗塁/出塁率.265

 こうした現状に、"二軍の帝王"、"イースタン・リーガー"と揶揄されることもあった。昨年、愛媛・松山での秋季キャンプでプロ入りしてからの2年間、一軍での成績が低迷している理由について聞くと、塩見はこう答えた。