栗山英樹監督が批判されても清宮幸太郎を起用。その真意、目的とは? (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

―― 中田選手が戻ってくるまでの10試合、清宮選手は打率.270、ホームラン2本でした。4番に入った清宮選手のスイッチは入った感じはありましたか。

「プレッシャーは感じていただろうし、打てなくて申し訳ないという感じも出ていました。ただ、それがすぐにやらなきゃという感じになりきらなかったのは、やっぱり身体に不安があったからなんでしょうね。とにかく今は、幸太郎自身が自分のスイッチを入れてくれないと話にならない。超一流になる選手はこういう逆境を生かせるはずだし、この状況で幸太郎が何をするのかというところを待つしかないんです。どこまで本気になれるのか。『オレ、野球ができなくなっちゃうんだ』とか『このままじゃ打てないんだ』と思わないと本気にはなれない。どこかで『オレは大丈夫だ』と思っていたら、スイッチは入り切らない。その最後のスイッチは自分でしか入れられないんで、そういう危機感を本人が持てるかどうかというところだと思います」

―― さすがに、今年は危機感を抱いたんじゃないですか。

「いつも悠然としていて、人の話を聞いているんだか聞いていないんだかわからないところがあって、そこがいいところでも悪いところでもあるんだけど、シーズンが終わって僕が(監督を)辞めるという話になった時、幸太郎が初めて反応したんですよ。僕の顔を見て、『ごめんなさい』って。別に幸太郎が謝る話じゃないのに、彼なりに責任を感じてくれたのかもしれませんね。ああいう反応をした幸太郎を見たのは初めてだったので、ちょっとうれしかったかな。結局、僕は監督を続けることになってしまいましたが(笑)」

おわり

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