栗山監督が明かす吉田輝星育成法。「ヒントはオリックスの山本由伸」
栗山監督インタビュー(中編)
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2020年に向けて、すでに動き出した北海道日本ハムファイターズ。沖縄・国頭(くにがみ)での秋季キャンプは、これまでにないハードな内容となり、日本一奪還への本気度がうかがえた。はたして、栗山英樹監督は来シーズンに向けてどんなチームづくりを行なっているのだろうか。
今シーズン、プロ初登板初勝利を挙げたルーキーの吉田輝星―― 栗山監督がイメージする2020年のファイターズとは、どんなチームですか。
「それは......『ドカベン』(漫画)の明訓高校みたいなチームかな」
―― 明訓高校ですか(笑)。
「僕は、プロ野球界のためにもおもしろい野球をやらなきゃと常に思っています。おもしろい野球をやって、それで勝ちたい。勝つだけじゃなくて、おもしろいと言って見る人に楽しんでもらいたいんです。だったら、葉っぱをくわえながら「ホームランしか狙わねえ」とか、バットを持ったままクルクル回るとか、そうやって個人の特長を活かす野球をやりたい。バカげているように見えるかもしれないけど、シフトにしても、全員でこっち側を守ろうよとか、ショートスターターにしても今日は全員で投げようよとか、おもしろい野球をやって勝てる可能性があるなら、僕はそれをとことん追いかけたいんです」
―― 監督業の醍醐味ですね。
「この選手の特長とこの選手の特長を、足し算するんじゃなくてかけ算するのがこっちの仕事ですから。ただ出してあげるだけだったら足し算にしかなりませんけど、ここではこっち側に守っていればヒットをゴロアウトにできる、ここでピッチャーを代えればゼロに抑えられる......そういう手助けをするのが、選手を活かして勝つということ。いろいろと組み合わせて、足し算を掛け算にして、その結果、優勝させるのが監督の仕事なんです」
――そのためにも個性の塊みたいな選手たちを揃えたい、ということですか。
「そうです。『(大田)泰示、すげえな、でっかいホームラン』『(西川)遥輝のスピードってすごいね』『なんでコンちゃん(近藤健介)っていつも塁に出てるの』みたいな、そういう選手の特長が浮き出てくるようなチーム。秘打、白鳥の湖は......誰が打ってくれるのかな(笑)」
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