カープの剛腕はスゴかった。「なんならもう1回」とノーヒッター3度

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

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「令和に語る、昭和プロ野球の仕事人」 第5回 外木場義郎・後編 (前編から読む>>)

 平成の頃から、どこかセピア色に映っていた「昭和」。まして元号が令和になったいま、昭和は遠い過去になろうとしている。そんな時代の球場で輝いた選手の貴重なインタビュー素材を発掘し、個性あふれる「昭和プロ野球人」の真髄に迫るシリーズ。

 カープのエースとして君臨した外木場義郎(そとこば よしろう)さんは、プロ初勝利をノーヒットノーランで飾り、その際に将来性への懸念を口にした記者に対して「なんならもう一回やりましょうか?」と言い放った。そして3年後、その言葉通りに2度目のノーヒットノーランを「完全試合」で達成したのだった。

72年、3度目のノーヒットノーランを達成した外木場の気迫あふれるピッチング(写真=共同通信)72年、3度目のノーヒットノーランを達成した外木場の気迫あふれるピッチング(写真=共同通信)
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 1968年9月14日、広島市民球場での大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)戦で、外木場義郎さんは1人の走者も許さず、9回は3者三振、計16奪三振で試合を締めた。

「条件としたら、そろった、ということでしょうね。ボールのキレもいい、コントロールもいい。そのなかで三振が多く取れた、というのはラッキーだったと思います。確かに三振は狙いにいって取れるものですし、その試合でも狙って取りました。しかし勝負事は何が起こるかわからない。ですから、やられたらしょうがない、という気持ちも持っておかないと」

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