2019.11.09

大村巌の若手育成術は「諭して褒める」。
怒るや叱るはコーチの感情だ

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Jiji photo

【連載】チームを変えるコーチの言葉~大村巌(4)

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 2019年限りでロッテの一軍打撃コーチを退任した大村巌が、20年からDeNAの二軍打撃コーチに就任する。指導者としてはこれで3度目の移籍になるが、DeNAは5年ぶりの復帰となる。

当時二軍で指導した筒香嘉智がメジャーに挑戦するだけに、早くも大村には「第二の筒香を育てて」と期待の声もかかる。では大村自身、これまでファームの若手にどう接してきたのか。まずは新人選手の育成方針を尋ねつつ、ロッテでのコーチングを振り返ってもらった。

来シーズンからDeNAの二軍打撃コーチを務める大村巌(写真右)「新人の場合、今はキャンプの前に新人と担当コーチとの面談があるんです。たとえば、バッティング担当なら一軍と二軍のコーチ全員が集まって、そのうちひとりが選手と向き合います。いきなり、キャンプインの2月1日に『おまえ、じゃあ、この練習しろ』なんて言えないですから。そこで面談で『どんなバッターになりたいか』といったことを聞く。リサーチですね」

 面談で新人選手の特徴や願望などがわかったからといって、即指導に入るわけではない。いま持っている技術に触らず、1カ月から2カ月かけて選手を見る。即戦力と見込まれた選手は別にして、二軍始動の新人はとにかく見る。そこには選手の自主性を伸ばす意味合いもあるという。

「ただ、自主性と教育とのバランスが難しいですね。自主性を伸ばすことを目指すんですけど、新人の場合にはある程度、『これをしなさい』と言っておかないとわからない。わからない選手には『道はこっちだ』って教えてあげないといけないですから。それはもう完全に、無条件で教えることになる。コーチングじゃなくてティーチングです」

 選手をサポートし、目標到達へのヒントを与えて「導く」のがコーチングならば、目標到達に向けて最低限必要な答えを「教える」のがティーチング。大村としては、できるだけ答えを教えたくないのだが、ここ数年はティーチングの必要性を痛感してきた。