投打で「左王国」のDeNA。ドラフトは目玉右腕と右の強打者が必要だ (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 そして投手陣だ。DeNAといえば"サウスポー王国"。石田健大、今永昇太、濱口遥大、東克樹......今シーズン、この4人で27勝を挙げたのだが、濱口、東は故障上がりで、石田は主に中継ぎとしての登板だった。もし4人とも万全なら、50勝を期待できる布陣である。それだけの実力を備えた左腕が4人もいるというのは、じつに珍しいことである。

 計算できる左投手というのは、本当に希少である。もし今回のドラフト候補のなかに、彼らに匹敵するようなサウスポーがいれば、それを狙うというのも"あり"だが、今年は肩を並べられる素材が見当たらない。

 ならば、迷わず"右腕"だ。

 間違いのない即戦力なら、森下暢仁(まさと/明治大)だろうが、今のDeNAの状況を考えれば、奥川恭伸(星稜)だ。

 今年3年目の京山将弥、2年目の阪口皓亮(こうすけ)という、あと少しで本格化しそうな右腕をなんとかしたい。そのためには、年上の森下よりも年下の奥川の突き上げが必要だと見る。

 チームの将来を左右する若手投手に対する強烈な刺激......いや、むしろ"叱咤"だ。それには奥川の実力と存在感が必要であり、"相乗効果"も期待できる。

 じつはこの春、開幕前の順位予想で私は「1位・DeNA、2位・広島、3位・巨人」と予想した。地元・神奈川のメディアにも「本当ですか?」と驚かれたが、まったく根拠がなかったわけではない。

 そのひとつが、京山の台頭だった。2年目の昨シーズン、6勝をマークするなど"飛躍"の兆しが見てとれた。それだけに今シーズンは、少なくともローテーション投手としてやってくれるんじゃないかという期待があった。その活躍に引っ張られるように、2年目の大型右腕・阪口も一本立ちするんじゃないかと......。

 だが、期待の京山は9試合に登板して0勝6敗、阪口もわずか3試合の登板にとどまった。プロの世界は、素人の計算が成り立つように簡単じゃないのはわかっている。それでも、とくに京山については「こんなものじゃない」という思いが強い。腕のしなりとストレートのキレとスピード。打者の手元でホップしてくるような快速球は、わかっていてもそう打たれるものじゃない。

 この京山に、今年ルーキーながら7勝を挙げた上茶谷大河、そして奥川が加われば......12球団ナンバーワンの"投手王国"は完成間近である。

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