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井端弘和がセ新人王を予想。
近本と赤星の違い、村上の低打率も解説した

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

井端弘和「イバらの道の野球論」(10)

 今年のプロ野球ファンのセ・リーグ新人王予想は、阪神の近本光司とヤクルトの村上宗隆で割れているだろう。

 近本は142試合に出場して打率.271、9本塁打、42打点。159安打を放って長嶋茂雄のセ・リーグ新人安打記録(153安打)を更新し、36盗塁でヤクルトの山田哲人(33盗塁)を抑えて盗塁王のタイトルを獲得した。一方の村上は、ペナントレース143試合をフル出場し、打率.231ながら、入団2年目以内では中西太に並ぶ36本塁打を記録。打点も96まで到達した。

 果たして、どちらが新人王に輝くのか。昨年まで巨人の1軍内野守備走塁コーチを務め、現在は解説者として活躍する井端弘和氏に、両選手の貢献ポイントや印象を聞いた。

セ・リーグ新人王候補の阪神・近本とヤクルト・村上セ・リーグ新人王候補の阪神・近本とヤクルト・村上――まずは、阪神・近本選手の印象から聞かせてください。

「大学、社会人を経験してプロ入りしたとはいえ、ルーキーとしてこれだけの成績を残したことは、すばらしいのひと言です。とくに、1年目で相手投手のクセなど情報が少ないなか、山田哲人(ヤクルト)や大島洋平(中日)などを差し置いて盗塁王に輝いたことには脱帽ですね。

 プロでは足が速いだけでなく、センスとテクニックを持ち合わせてないと盗塁を成功させることは困難です。また、土のグラウンドの甲子園球場を本拠地とする阪神で盗塁王を獲得したことも、大きな価値があると思います。ドーム球場は気候の影響を受けにくく、凸凹も少なくて走りやすいですからね。近本には、私の亜細亜大学の後輩で、やはり社会人から阪神に入団した赤星(憲広)を超える選手になってもらいたいです」

――赤星さんとは現役時代に何度も対戦があったと思いますが、どんな存在でしたか?

「ホームランバッターよりも集中力が必要でした。ランナーとして塁に出ている時はもちろん、打席に入っている時から、内野安打を防ぐため守りの位置に気を使いましたし、ボールカウントによる打球の方向なども考えさせられましたから。投手だけでなく、チーム全体で警戒しなくてはいけない選手でしたね」

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