西武・平井克典の投げすぎ問題。イニングまたぎ平然も壊れないか心配だ (2ページ目)
「しんどいとか、投げたくないと思ったことがないので、その感覚が逆にわからないです。なんでしんどいの? 別に、もう1回投げられるならいいじゃんって(笑)」(平井)
ついたあだ名は「平井プロ」。安定感を欠くブルペンのなかで、ファンが"プロ"と呼ぶにふさわしい仕事を毎回こなしていく。
5月24日の日本ハム戦では6回途中のピンチでマウンドに上がり、得意の回またぎでヒーローインタビューに呼ばれた。この日、金曜のナイターは21時18分に終了し、14時プレーボールの翌日まで疲労を抜く時間が少ないのではと話を振ると、平井は平然と答えている。
「そんなにカツカツでもないので、(気をつけるのは)栄養くらいじゃないですか。とくにデイ(ゲーム)だから、というのはないです。僕、(回またぎも)全然普通なので。勝つために、やるべきことをという感じなので。これで勝てるんだったら、全然いいですし」
それから1カ月、マウンドに上がるペースは落ちず、7月9日時点でリーグ最多の43試合に登板。一方でホールドポイントは、35試合登板の宮西が最多の30に対し、平井は同4位タイの19。点差に関係なくマウンドに送られてきたことが、宮西との差として表われている。
投げれば抑えるから、ベンチは再び投げさせたくなる。そうして場数を重ねるたび、平井は成長の跡を見せている。
とりわけ顕著な数字が、左右の打者別の被打率だ。
2018年は対右打者が.189、対左打者が.230だったのが、今季は対右打者が.256、対左打者が.193(2018年成績は『nf3-Baseball Data House-』参照)。サイド気味のスリークオーターという"変則右腕"にとって、「天敵」とも言える左打者への成績が改善された。
「僕も打たれないように抵抗していますからね(笑)」
プロに入って投げるのをやめたフォークを今年から再び投げ始めたことに加え、光るのは外角のボールゾーンから内へ曲げる「バックドア」のスライダーだ。アマチュア時代は「あまり発想がなかった」が、捕手の森友哉は左打者視点でバックドアを有効に使っている。平井自身、当初は「そこなんや!?」と感じることもあったが、「あっ、よし」とうなずく場面が増えていった。
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