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矢野燿大、与田剛はどのタイプか。
名コーチが説く「いい監督の条件」 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 どの監督にも特徴があるものだが、こうした違いといのは主義というより、性格によるものが大きい。

 たとえば、広島の緒方孝市監督は自分のスタイルに選手をはめていくタイプだし、逆にヤクルトの小川淳司監督は選手の力量に合わせて戦い方を決めていくタイプである。

 また、4年ぶりに現場に戻ってきた巨人・原監督だが、2007年に1シーズンだけ打撃コーチ補佐として仕えたことがあるが、印象としては「ひらめきで動き、それに選手たちがついてくる」という感じがした。

 ノムさんも選手に多くを要求したが、その前提として説教やボヤキという形で普段から自分のスタイルというものを浸透させていた。だが原監督は教え説くタイプではない。マスコミをうまく利用し、バーンと自分の野球を掲げ、あとは選手たちが自分なりに理解し行動する。一見、乱暴なやり方に映るが、選手の個性は失われることがない。

 日本ハムの栗山英樹監督は、教え説きながらも選手のレベルに合わせた戦いをしているように見えるが、実際は自分の戦いを強く持ち、ついて来られない選手は切るという冷酷さを持ち合わせているように映る。

 このようにある程度、指揮官として経験を積めば自分のスタイルというものが確立されていくだが、阪神の矢野監督、中日の与田監督はどのタイプなのか。こればかりは始まってみないとわからない。

 そのなかで新人監督が気をつけないといけないのは、自分の個性を出そうとし過ぎることだ。多くは前任者のチームの不振により監督に抜擢されるわけだが、選手起用にしても作戦面においても、これまでとは違った戦いをしたがる傾向にある。もちろん、その気持ちは理解できるし、チームを変えるという意味では当然のことである。ただ、「変えなきゃ」という意識だけが先走りすると非常に危険である。

 まずはしっかりと戦力を見極め、その上で自分のスタイルを確立していくというのが理想だろうが、そこもある程度の結果を出さないと「あの監督は何がしたいのかわからない......」となってしまう。そのあたりのさじ加減が非常に難しい。

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