リリーフ三嶋一輝に迷いなし、自信あり。150キロ台連発で奪三振率が凄い
「今年は『気持ちが乗っているね』と、いろんな人に言われるのですが、正直、放っておいてくれ、と思っているんですよ」
DeNAの三嶋一輝は真剣な面持ちで、そう言い放った。普段見せる、優しい笑顔はそこにはない。
「結果が出たときだけ、いろいろと言われるこの世界だから、あまり大きなことは言いたくないし、本当に、今年は自分らしくやろうって思っているだけなんで」
リリーフとして今やチームに欠かせない存在となった三嶋一輝 プロ6年目。これまで数々の失敗や悔しい思いを重ねてきた。もうそんな過去に戻るわけにはいかない――三嶋の口調からは、そんな強い覚悟が見てとれる。
今季、リリーフとして三嶋の存在感は際立っている。ここまで35試合(以下データは7月24日現在)に登板し、4勝1敗、防御率3.29。
開幕当初こそビハインドの場面での登板が多かったが、度重なる好投によりアレックス・ラミレス監督の信頼を勝ち取ると、現在はランナーを背負った厳しい場面から勝ちパターンに至るまで、獅子奮迅の活躍を見せている。
もし三嶋がいなかったら......DeNAは今よりも厳しい状況にあったことは間違いない。それほど重要なポジションを、今季は任されている。
かつてはDeNAの次期エースと目された選手だった。150キロを超えるストレートを武器にした攻めのピッチングで、ルーキーイヤーを6勝9敗で終えると、2年目には開幕投手に抜擢された。首脳陣の期待の表れだったが、それ以降、三嶋は芳しい成績を残せずにいた。
原因のひとつは、コンディショニングにあった。
1年目、プロのストライクゾーンに苦しみ、考えていた以上にフォアボールが多かったことを反省した三嶋は、オフに体重を落とすことでフォームを安定させた。翌年、狙い通り制球は整いフォアボールは減ったが、今度は持ち味だったストレートの球速が140キロ台半ばまで落ち込み、思うようなピッチングができなくなってしまった。
自分を取り戻すため、三嶋は試行錯誤を続けてきたが、結局、2年目から昨年までの4年間で、先発としてわずか7勝(8敗)しか挙げることができなかった。
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