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パの猛者もタジタジ。無双のオリックス19歳セットアッパーは何者だ? (3ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Kyodo News

 都城(宮崎)高時代は快速右腕として注目されていた山本だが、実は変化球が多彩な投手だった。普通の高校生なら、ストレート、カーブ、スライダー、フォークといったところが持ち球の相場であるが、山本の場合はこれにツーシーム、シンカー、チェンジアップが加わる。変化球は誰に教えてもらったわけでもなく、すべて自己流で覚えた。

「いろいろと覚えたかったので、あれもやってみよう、これもやってみようという感じでした。監督からは『もっとしっかりストレートを投げろ!』って言われましたが、ひたすら変化球を投げていました(笑)。ひとつひとつの球種のレベルは低かったですけど、いろいろ練習しました。もちろん、真っすぐあっての変化球というのはわかっていましたよ」

 とはいえ、ストレートは150キロを超えていたというから、間違いなく"超高校級"だろう。だが、甲子園出場経験はなく、全国的には無名に近い存在だった。

 思えば一昨年のドラフトは、寺島成輝(履正社→ヤクルト)、藤平尚真(横浜→楽天)、高橋昂也(花咲徳栄→広島)、今井達也(作新学院→西武)の"ビッグ4"が注目を集めていたが、今や山本は彼らをしのぎ、同期の出世頭となった。

 その山本が一躍ブレイクするきっかけとなった高速カットボールだが、これも特に決め球にするつもりはないと言う。

「どれっていうのではなく、全部の球で勝負できるようになりたいんです。シンカーは、プロのレベルで使いものにならないので投げていませんけど......あえて言えばスライダーが一番得意ですかね。だから、昨年はスライダーに頼る部分もありましたけど、今年はそういうことはないです。今はキャッチャーからのサインでカットボールが多い気がしますが、自分ではカットボールに頼るっていうイメージはないです」

 ランナーを置いた場面で三振を取りにいくのに、カットボールは十分なキレとスピードを持っているが、あくまで山本は打たせて取るためのボールだと言う。そもそも山本は、三振を奪うのではなく打たせて取るピッチングを理想としている。

「やっぱりシーズンを通して戦うなら、球数は少なくいきたいですから」

 その言葉の先には「いつか先発で」という思いがある。ここまで(7月4日現在)33試合に登板し、4勝0敗1セーブ、防御率0.82。

 5月1日には、強打の西武打線を相手にプロ初セーブを挙げた。近い将来、オリックスの守護神としてマウンドで仁王立ちする山本の姿に思いを馳せるファンも少なくないだろうが、本人は先発としてマウンドに上がることを夢見る。

「最後(クローザー)もやってみたい気がしますが、まだ実力不足なんで......。でもやっぱり、将来的にはリリーフじゃなくて、先発をやりたいですね」

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