2018.07.09

プロ野球「一軍・二軍ボーダーライン
の心理」。ヤクルト谷内亮太の場合

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 今シーズン、個人的に活躍を期待していた選手のひとりにヤクルトの谷内亮太(やち・りょうた/6年目/内野手)がい。昨年の松山(愛媛)での秋季キャンプで、そのパフォーマンスの高さに驚かされたからだ。だが現在、あらためて「プロの世界の厳しさ」に直面している。

今季、ファームでは高打率をキープしているヤクルトの谷内亮太 谷内の今シーズンは、西都(宮崎)の二軍キャンプから始まった。

「これまでは一軍キャンプ(沖縄・浦添)でスタートしていたので、まずは自分の置かれている現状を思い知らされました。ただ、キャンプ最初に高津(臣吾)監督が『二軍スタートになったけど、10月に笑っている人間が勝者だから』と話してくださって、それが心に響きました。10月に笑っていられるように、ほかの選手のことは気にせず、自分の技術を磨くキャンプにしようと、気持ちの整理ができました」

 二軍キャンプでも、谷内のパフォーマンスの高さは際立っていた。

 たとえば"連続ティー100球"で、コーチは高低・緩急を使い、選手たちに楽をさせないようにトスをあげる。多くの選手は途中から悲鳴を上げ、スイングが波打つこともしばしば。そのなかで谷内は、機械のように強く正確なスイングを最後まで繰り返すのである。

 橘内基純(きつない・もとずみ)トレーナーは「突出した部分が見えにくいですが、どの分野でも平均以上の力があることが魅力の選手です」と、谷内のフィジカル能力について語る。

「筋力、持久力、パワー、それに切り返しの動作や繰り返しの運動能力など、どの数値も毎年のように伸びています。チーム内において、いずれも上位の数値です。性格的にも勤勉で、何事にも一喜一憂せず、ムラなく練習を続けられる。動きに対する意識、トレーニングに対する知識があり、負荷の高いトレーニングをこなせるメンタルと体力も持ち合わせています」

 谷内自身は「試合でもそうですが、自分で自分を使い切れていない感じがあるので『もっとできる』という思いはあります」と話し、こう続けた。

「これといって秀でたものはありませんが、昔からトレーニングをしっかり続けてきた自負はあります。たとえば、瞬発力が特別に優れた選手はうらやましいですし、そうなりたいとも思います。でも自分のことを考えれば、やはりすべての面でバランスよく、それを成長させることが大事だと思っています」