2018.04.18

マジだったのか!「今季ヤクルトは
スモールベースボール」の徹底力

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ヤクルトは開幕5カードを8勝7敗と勝ち越し、「再起」への大きな一歩を踏み出した。そのなかで強く印象に残っているのが、小川淳司新監督が掲げる”スモールベースボール”の意識がチーム全体に浸透していることだ。流れるような攻撃シーンは、「こんなにも簡単に点が入ってしまうものか……」と思わず唸(うな)ってしまった。

小川監督が掲げる「スモールベースボール」のカギを握るひとりの西浦直亨

 宮本慎也ヘッドコーチに、”スモールベールボール”について聞くと、こんな話をしてくれた。

「去年までは”打て、打て”の野球でしたが、今年はノーヒットでも点を取れるようにしようと……。石井(琢朗)打撃コーチが話すように、極端にいえば、四球で出塁したランナーが盗塁して、バントで三塁に進め、犠牲フライや内野ゴロで1点を取る。

 やはり、いい投手を相手にするとなかなか得点できません。そういう部分で、右打ちも含めたチームバッティングですよね。畠山(和洋)も4月6日の巨人戦で、サインは出ていましたがしっかり進塁打でランナーを進めてくれた。当然”バント”も(作戦のなかに)入ってくるわけで、今のところ成功率も高いですし、うまくいっています」

 宮出隆自(りゅうじ)打撃コーチと選手たちの”過酷なバント練習”に気づいたのは、開幕2戦目となるDeNA戦(横浜スタジアム)の試合前練習のときだった。

「今日の先発は(DeNAの)バリオスだから、カットボールとツーシームでいくから。バントをやらせようと思って投げないからな」と、宮出コーチが向き合ったのは山崎晃大朗。2人の距離はかなり近く、そこから思い切りカットボールとツーシームを投げ込むのである。山崎は「うわっ」と目を見開きボールに集中するも、まともに転がすことができない。

「めちゃめちゃ難しいよ。8割は失敗」

 山崎は、この様子を興味深そうに眺めていた上田剛史に向かってそう言った。気がつけば、バックネット前のバント練習スペースには選手たちの輪が広がっていた。見事なバントを決めた選手には「ナイスバント!」と声がかかり、空振りをすれば「空振りはまずいよ」と檄が飛ぶ。どの顔も真剣そのものなのだが、どこか楽しそうに見える。