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今永昇太は「あの魔球」の投げ方に
ついて、石川柊太に教えを請うた (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「一番いいときの自分のフォームはどういうものなのか。そのフォームで1年間、投げ続けることは無理だと思いますけど、どうすればそのフォームに近づけられるのか。疲れが出てくると、どういうふうに崩れがちになるのか。それを防ぐためにどこへ意識を置いておけばいいのか。そういうことを、体はこうなっているからこういう姿勢を作れば手はこっち側には出にくくなるとか、メカニックを理解した上で体現する。

 率直に言えば、鴻江先生のおっしゃっていることは頭では理解できても、それを体で表現することは難しいなと思いました。どんどん積み重ねて、どんどん研ぎ澄ませていかないと、なかなか身につかない。だから、今はまだ慣らし中です」

 トレーニング合宿では、球場を借り切って、ビデオ撮影をしながらピッチングをする。そのフォームを鴻江さんがチェックし、その場で修正点を指摘して、そこを意識させながらふたたび投げる。それを繰り返し、練習が終わったら、その日に最初に投げたときのフォームと、最後に投げたときのフォームを並べた二画面の映像を作成する。

 夜、ビデオルームでそのフォームを見比べながら、どこがどう変わったか、どちらのフォームが理に適っているかを議論する。その議論には、その場にいる全員が加わる。今永は、ひとりひとりが指摘してくれる言葉をメモに取って、聞き入っていた。

「今回、わかったことは、僕は投げにいくとき、背中を反らせるタイプなんですけど、それをまっすぐ、フラットな状態で投げられるようにしたほうがケガをしないということでした。反ってしまうと開きが早くなる分、腕が遅れてくるので、肩を痛めたりしやすくなるんです。鴻江先生が目指すフォーム作りのモットーは、まずケガをしないということ。僕の今までのフォームだと、首が張ってきたりとか、肩の関節の前の方が張ってきたりとか、そういうところが問題点だったので、そこを戻すために初めは極端に猫背のイメージでいいんじゃないかと......そこを意識して今は投げています」

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