CS進出へ「ここからが勝負」と語る山﨑康晃は、昨年とは別人のよう (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 山﨑は確信に満ちた口調で続ける。

「僕は、野球はメンタルスポーツだと思っているんです。精神を強くすることはもちろん、上手に気持ちを整理することも大切。今年においては、その整理がきちんとできているのかなって」

 今年、山﨑はシーズン序盤に打ち込まれ、一度クローザーの座を外されている。のちにラミレス監督が「一番難しい決断だった」と語る出来事だが、山﨑は人知れず悩んだものの、心折れることなく中継ぎを務め、あらためて信頼を積み重ねていった。

「本来ならファームに落ちてもおかしくない状況でしたが、それでも監督が信じて起用してくれたので、とにかくその仕事をまっとうしたかった。それに中継ぎを経験したことで、その大変さを知ることができたのも大きかったですね。やってみなければ絶対にわからないことですから」

 山﨑は主に勝ちパターンの7回を任される中継ぎとして無失点を重ね、1カ月後にクローザーへ復帰する。

 クローザー復帰後も、当初はラミレス監督曰く「決して約束されたポジションではない」と厳しい見方をされていたが、8月に入ると「(山﨑は)100%私の信頼を勝ち取っている。シーズン終了まで(クローザーを)彼にやってもらおうと思う」と語らせるに至った。

「あの言葉は自信にもつながっています。だけど、これからも成長し、結果を出し続けることが何よりも大事。いろんな経験をしてわかったのは、気持ちのなかで落ち着いてしまったらダメだということ。常に危機感を持たなければいけないし、そういう意味で今年はこれまでの経験が生きていると思います」

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