「巨人の歴代4番打者」リストに見る、
阿部慎之助2000安打の凄さ (2ページ目)
こうして見ると、さすがは巨人の4番だけあって2000安打達成者がたくさんいる。しかし、よく見るとその大半は他球団からの移籍組や、後に巨人から他球団に移籍した経歴を持つ選手であり、いわゆる"生え抜き選手"はけっして多くない。生え抜きという意味を「入団から引退まで巨人ひと筋」とするならば、該当するのは、川上哲治、長嶋茂雄、王貞治、柴田勲の4人だけで、今回の阿部慎之助がようやく5人目なのだ。
昭和のV9時代など過去の圧倒的な強さからすれば、巨人生え抜きの2000安打達成者は意外なほど少ないのが事実で、近年の生え抜きスラッガーとして真っ先に思い浮かぶ原辰徳や高橋由伸も、2000安打には到達していない。
さらに、巨人の生え抜き4番で2000安打達成者のうち、川上哲治は181本、柴田勲は194本しかホームランを打っておらず、阿部より多い通算ホームラン数を記録したのは王貞治の868本、長嶋茂雄の444本だけだ。つまり、阿部慎之助は「ON」に次ぐレベルで強力な巨人の4番ということになる。
また、ポジションという視点で考えても、阿部の希少性は特筆に値するだろう。巨人の歴代4番リストからキャッチャーを抽出すると、阿部以外に該当するのは、わずかに川畑博、藤尾茂、森昌彦、大久保博元のみ。しかも、彼らが4番を打ったのは、川畑(6試合)、藤尾(13試合)、森(6試合)、大久保(2試合、当時はファーストで出場)という極めて少ない機会だった。おそらく当時のチーム事情による例外的な起用であったことは想像に難くない。
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