岩隈、田中、則本──。楽天「エースの系譜」を藤平尚真は継承できるか

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 開幕から好調なスタートを切った楽天が、ソフトバンクと熾烈な首位争いを繰り広げている。とりわけ興味深いのが試合運びだ。投打ともに自分たちのかたちを持っており、型にはまったときの強さは圧巻だ。

 攻撃では、闘志と技術を兼備した茂木栄五郎が攻撃の先鋒としてチームに勢いを与え、カルロス・ペゲーロ、セローズ・ウィーラー、ジャフェット・アマダーの外国人トリオがあとに控える。その後、茂木が故障で戦線離脱を余儀なくされたが、そこに島内宏明、岡島豪郎がとって代わり、打線のバランスを崩すことなく戦い続けている。

6月16日の阪神戦でプロ初登板を果たした楽天のルーキー・藤平尚真6月16日の阪神戦でプロ初登板を果たした楽天のルーキー・藤平尚真 そして投手陣だ。岸孝之、則本昂大、美馬学、釜田佳直の先発ローテーションに、今も成長を続ける守護神・松井裕樹。中継ぎにはハーバード大出身のフランク・ハーマンと、防御率0.00の福山博之が控えている。そこに今季は、森原康平、高梨雄平、菅原秀のルーキーたちが頑張り、チーム防御率3.15はリーグトップを誇る。(7月9日現在)

 あとはローテーションにもう一枚、二枚加われば磐石だな......と思っていた。普通に考えれば、安樂智大の出番なのだろうが、まだ投球に不安定さが残る。それは辛島航、戸村健次、期待の大型左腕・森雄大も同様だ。そんな中、ファームでひとりの剛腕がジリッ、ジリッと頭角を現し始めていた。

 ドラフト1位ルーキー・藤平尚真だ。

 そんな上り調子の新人に、突然、大役が回ってきたのは、6月16日の阪神との交流戦だった。

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