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名コーチが分析。山田哲、筒香の不振は
本当に「WBC後遺症」なのか (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 一方、筒香についてはこう言及した。

「筒香の不振は、WBCそのものの影響というより、セ・リーグの投手の攻め方が変わったからだと見ています。今シーズンは内角への攻めが厳しくなっているのですが、筒香のスイングがまだそれに対応しきれていません。本来これは、キャンプやオープン戦の時期にすべきことなのですが、それができなかった。そのしわ寄せだと思います」

 セ・リーグの他チームは、昨年、筒香に40本塁打を許した反省から、オフにデータを徹底して見直し、"筒香対策"を練っていた。当然、筒香もそれを想定して準備すべきだったのだが、WBCに出場したため"対応策の準備"まで手が回らなかったというわけだ。

「相手の配球パターンの変化も、本来ならオープン戦のときから意識するものなのですが、筒香の場合、開幕後にようやく把握できたのではないかな。それから対処法を考え始めるのだから、時間もかかるわけです。ヒットは打てても本塁打が出なかったのは、技術の問題ではなく、相手バッテリーの変化に対応できていなかったからだと見ています」

 参考までに、直近である5月14日の阪神戦での筒香に対する攻めを振り返ってみると、全11球中7球がインコースだった。たしかに、わかりやすいほど内角を攻めているのが見てとれる。

 さらに伊勢氏は、こんな指摘をした。

「プロ野球界には"右投左打の死角"という言葉があるんです」

 それは、打席での内角ヒザ元を意味するのだという。右投左打の選手は、ほとんどが幼少期につくられた打撃フォームで、そんな打者ほど内角のヒザ元の攻略は難しいというのだ。

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