鉄人・室伏の教えを胸にオリックス吉田正尚が究める「超人スイング」 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

「やれなかったですね。63試合しか一軍にいなかったわけですから。プロはお金になる世界。二軍でいくら打っても意味がない」

 あらためて振り返ると、3、4月の21試合は打率.263、0本塁打、4打点。それが復帰後の42試合は、打率.305、10本塁打、30打点と別人の活躍を見せ、最終戦では4番を任された。この差を見て、「もしかして開幕時から腰の不安を抱えていたのでは......」という思いが浮かんだが、吉田は否定した。

「それはなかったです。それよりも慣れです。(2月上旬に右わき腹を痛めて二軍調整が続いていた影響で)京セラでのオープン戦最後の3試合に出ただけで開幕でしたから。ビジターの感覚とか、ホテルでの生活とか、慣れないことばかりでした。それが復帰後は、球場の雰囲気や移動、生活のリズムにも慣れて、落ち着いて野球ができるようになりました。そこが大きかったと思っています」

 さらに、12月には台湾で行なわれたアジアウインターリーグにも参加し、全18試合に出場し、打率.556、6本塁打、29打点と驚異的な記録を残した。しかし、このことについて聞いても、「ひとつひとつ見ていったら、いいものもあったし、悪いものもありました。特に、あそこ(台湾)で打てたからどうというのはないです」と素っ気ない。

 やはり1年目に関しては、シーズンを通して戦いきれなかった"悔い"の方が大きい。そこでオフから吉田が懸命に取り組んでいるのがコンディショニングだ。特に、あの強いスイングを支えている腰の負担は気になるところだ。

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