鉄人・室伏の教えを胸にオリックス吉田正尚が究める「超人スイング」 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

「ただ、バッティングが腰にどれだけ影響するのかはわかりません。いちばんは普段の生活からの蓄積だと思うので、私生活での体の動かし方、守備のときにも腰に負担がかからないようにとか、トータルで考えるようにしています」

 同時に、肉体強化の意識も高まり、1月25日には東京医科歯科大で教授を務める室伏広治氏のもとを訪ねた。そこで室伏氏が吉田のために考えた16種類のトレーニングを伝授され、コンディション維持に関する話も聞いた。

 昨年の秋季キャンプ中に直筆の手紙を書き、その思いが伝わっての実現だったわけだが、あまたいるアスリートの中からなぜ室伏氏だったのか。

「バイオメカニズムもしっかり勉強されていて、体を知り尽くしている方。それに、単に指導者という立場ではなく、教授としていろんな研究もされている。最初からこれを学ぼうというのではなく、実際にお会いして感じたもの、得られるものは全部持って帰ろうと思って行ってきました」

 オリンピックの金メダリストに手紙を書き、ひとりで飛び込んでいく。このあたりに吉田正尚という選手の、プロの世界で生き抜く強さを感じた。そして室伏氏に惹かれた理由もわかる気がした。

 吉田は子どもの頃から体が小さく、今も身長173センチと大男が集うプロの世界では小柄な部類に入る。だが、この体で「もっと飛ばしたい。どうしたら飛ばせるのか」と考え続けてきた。対して室伏氏も、世界の大男たちとの圧倒的なパワーの差を埋めるため、徹底して体の使い方、鍛え方を学んできた人物だからだ。

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