鉄人・室伏の教えを胸にオリックス
吉田正尚が究める「超人スイング」 (5ページ目)
そんな吉田のプロの世界での"飛び"を感じさせるひとつのデータがある。それが昨年、札幌ドームで放った3本のホームランだ。札幌ドームは広い上にフェンスが高いという、言わずと知れたホームランの出にくい球場だ。ここを本拠地として戦う日本ハムの選手を除いて、札幌ドームで3本以上ホームランを放った選手は、エルネスト・メヒア(5本/西武)、糸井嘉男(3本/オリックス→阪神)、そして吉田の3人しかいない。吉田は言う。
「札幌ドームは空気が乾燥しているから飛ぶんじゃないですか。ただ自分の場合は、広くてフェンスも高いから、逆にフラットな気持ちで打席に入れるのかもしれないですね。球場が狭いと、逆に力が入ってしまうかも。でも、球場を意識したことはないですけどね」
ちなみに、日本ハムの主砲・中田翔は「広いからこそ力む」と、本拠地を苦手(札幌ドームで3本塁打)にしている理由を挙げていた。
強烈なスイングや飛びに注目が集まる吉田だが、それだけではない。"強いスイング"を意識しながら、確実性も求めているのだ。それを実践するため、打席のなかで3つのスイングを状況や場面によって使い分けている。
① テイクバックをゆったり取り、相手投手が投げるボールのラインにバットを入れるスイング
② 高めの球をさばくときなど、ボールに対して最短距離で極端なぐらい上からバットを出すスイング
③ 長打を意識して、やや下からバットを出すスイング
昨年、あれだけのフルスイングをしながら、三振数は258打席で34個。ただ強く振るだけでなく、しっかりミートすることも意識していたことがわかる。
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