まだ潜在能力の3割。広島・アドゥワ誠は「体重100kgに増やす」

  • 元永知宏●文・写真 text & photo by Motonaga Tomohiro

 ダルビッシュ有が、甲子園、ファイターズ、メジャーリーグで活躍したこの10年あまり、日本中のさまざまな所に「〇〇のダルビッシュ」が出現した。〇〇に入るのは地名で、それが埼玉だったり、岡山だったり、下町だったりする。

 しかし、「〇〇二世」と呼ばれる選手と同様、本家を超える活躍をする者はまだいない。背が高くて速い球を投げる本格派右腕は「〇〇のダルビッシュ」と言われて、実際の実力以上の評価を乗せられてきた。そのため、本人は必要以上のプレッシャーを感じて力を出せず、周囲を失望させることも多かった。

 そもそもダルビッシュのように、甲子園で通算7勝、ファイターズで93勝、レンジャーズで46勝を挙げるようなピッチャーが簡単に現れるはずがない。そういう意味では罪作りな呼び名だ。

今はヒョロリと細いが、プロで体づくりに取り組むアドゥワ誠今はヒョロリと細いが、プロで体づくりに取り組むアドゥワ誠

 2016年ドラフトで広島東洋カープに5位指名されたアドゥワ誠は、「伊予のダルビッシュ」と呼ばれていたが、全国的には無名だった。昨夏、松山聖陵のエースとして甲子園初出場を果たしたことで、ようやくその存在がクローズアップされた。

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