三浦大輔の引退試合でプロ初打席初本塁打、廣岡大志の「強運」 (5ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 廣岡は10月1日の広島戦(マツダスタジアム)にも出場し、黒田博樹と対戦。2打席目にライト前ヒットを放った。じつはこれも、9月25日の試合が雨天中止となり振り替えられたものだった。仮に24日と25日の試合が予定通り消化されていれば、ヤクルトは28日に全日程を終了させていた。つまり廣岡には、三浦や黒田との対戦はおろか、一軍昇格もなかった可能性が高かった。

 この「奇跡」のようなめぐり合わせを目の当たりにすると、1992年の秋に取材したW・P・キンセラ氏(映画「フィールド・オブ・ドリームズ」の原作者)の言葉を思い出さずにはいられない。キンセラ氏は今年9月16日に他界。哀悼の意も込めて、彼の言葉を紹介したい。

「たとえば、ホームプレートに立って2つのファウルラインを永遠に延長していくと、その線のなかには世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが、野球なんです」

 数々の運にも恵まれ、プロ初打席初本塁打という最高の結果を残した廣岡のこれからの野球人生が楽しみだ。

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