横田慎太郎&高山俊。若き2人の「フルスイング」が阪神の未来を変える (4ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 その阪神が1位で獲得したのが、明治大の高山俊。東京六大学の通算安打記録を更新したほどの男だ。“コンスタント”という部分に関して、一枚上であることは自他ともに認めるところだろう。

 しかも高山のコンスタントは、持って生まれた野球センスと、抜群のスイングスピードで振り抜こうとする意欲によるものだ。バッティング技術はこれから習得する部分が多く、まだまだ伸びしろのある選手といっていいだろう。横田にとっては、間違いなく強敵である。

 高山のすごさは、“逃げ方”だと見ている。追い込まれたあとの彼は、投手が投じる勝負球をファウルで逃げるのではなく、シングルヒットにして逃げるのだ。

 胸元を突く145キロ超の球を、上体をうしろに反らしながらボールをこするようにバットを出し、レフト線に落とす。あるいは、ショートバウンドになりそうなフォークをバットのヘッドで拾ってセンター前に持っていく。そうしたとっさの逃げ方ができるからこそ、オープン戦で7試合連続安打を記録できたのだろう。今はまだ見せていないが、タイミングが合えば、右中間中段にライナーで放り込むパワーも隠し持っている。

 横田と高山――どっちを使うのかではなく、ふたりとも起用すればいいと思う。横田と高山が怖いもの知らずでフルスイングをするほうが、相手にとっては不気味だろうし、なによりタイガースの未来に光が射しそうな気がするのだ。

 未来に目を向けることを恐れていたのが、今までのタイガースだったように思う。目の前の1勝にこだわり過ぎたために、未来までも失っていたのではなかろうか。

 金本知憲新監督のもと「超変革」をスローガンに掲げたその年に、うってつけの“才能”が芽吹き始めている。ふたりがタイガースの未来を変えてしまう可能性は大いにある。

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