横田慎太郎&高山俊。若き2人の「フルスイング」が阪神の未来を変える (3ページ目)
「いいぞ!」と思っていたら、次の試合で一軍経験豊富なサウスポーからホームラン。外へ逃げるスライダーを空振りして、追い込まれた直後の一発だった。チェンジアップの抜けたような難しいボールを自分の“間”でとらえて振り抜いた。
結果を残しているにもかかわらず9番で起用された試合では、ウェイティングサークルからのアピールがすごかった。「見てろよ!」とばかりにブンブンとフルスイングを繰り返しながら、しっかりとタイミングを合わせている。十分に燃えているが、燃えすぎていない。常に頭は冷静でいられる。ワンランク上の打者になっていた。
この春のオープン戦は、まだ一度も見ていない。もともと、スラッガータイプの打者だ。調子の波の大きさを誰もが心配する。コンスタントに打てること――それが横田にとって永遠の課題になるはずだ。
しかし、テレビ画面で見た今年の横田には、今までにない「しつこさ」を見たような気がした。最初の2、3打席で凡退すると、もうそこまで。そんな昨年までの傾向が少しずつ変わってきているのだろうか。
それまでノーヒットでも、3打席目、4打席目にしぶとく野手の間を抜いたり、内野安打で出塁したり、なんとか1本を放ち、3月15日現在、打率.344を残し一軍に喰らいついている。
3年目の今季、外野の一角を狙っていた横田にとって、昨年のドラフトで1位指名が“外野手”だったのは、本人は絶対に口に出さないだろうが、かなりショックだったはずだ。逆にいえば、あともうワンパンチほしい横田に、あえて球団がショックを与えたのかもしれない。
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