2016.02.28

マツザカよりマツモト。ホークス昨季ドラ1松本裕樹がベールを脱ぐ

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • スポルティーバ●写真 photo by Sportiva

「おや、さっきの松坂より、いい真っすぐを投げてるんじゃないか」

 背番号66の投球に、筆者の横に並んで見ていた某解説者が思わず呟いた。「体も大きく見えるな。身長はどれくらい?」と聞かれたので、プロフィールを調べると182センチとなっている。

「ほんとに? 188センチくらいに感じる。迫力があるな」

 その我々の視線の先にいたのが、プロ2年目の右腕のソフトバンク松本裕樹だった。

ルーキーイヤーの昨年は二軍でも登板機会がなかった松本裕樹

 2月16日、松本はこの春季キャンプで初めての打撃投手を務めた。その直前には松坂大輔が同じマウンドで投げていた。松坂が昨年の右肩手術以降で初めて打者と対した日だ。今さらその注目度は説明するまでもないが、次の松本が登板する頃にはほとんどの報道陣が球場からいなくなっていた。

 筆者も背番号18の背中を追いかけようとしたがやめた。じつは松本が打者に対して投げるのを実際に見るのは、これが初めてだったからだ。

 昨季ドラフト1位で入団しながら、ルーキーシーズンは一、二軍の公式戦登板もなければ、ソフトバンクが設置している三軍のマウンドに立つこともなかった。唯一、昨年10月の秋季教育リーグ「フェニックスリーグ」で1イニングだけ登板した記録が残っている。

 松本は右ヒジを痛めた状態でプロ入りした。盛岡大附属高校時代は各球団のスカウトから熱視線を浴びる注目の逸材だった。それもそのはず。柔らかいフォームから150キロのストレートを投げ込み、カットボールやスライダー、ツーシームやチェンジアップなどの変化球も器用に投げ分ける。さらに打っても通算54本塁打。まるで野球の才能の塊のような選手である。