野球人生初のキャプテン。オリックス糸井嘉男の「苦悩の1カ月」

  • 波佐間崇晃(オリックス・バファローズ球団映像アナンサー)●文 text by Hazama
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 今季オリックス・バファローズのキャプテンに就任した糸井嘉男。身に着けるアンダーシャツ、バッティンググローブ、自打球防止用のレガースには、今年から背番号7をダイヤモンドで囲ったマークがあしらわれている。糸井は「今年はダイヤモンドみたいに頑丈に、そして輝きたい」と話す。

今季からオリックスのキャプテンとしてチームを引っ張る糸井嘉男今季からオリックスのキャプテンとしてチームを引っ張る糸井嘉男

 糸井は北海道日本ハムファイターズから移籍して2年目となる昨年、パ・リーグの首位打者に輝き、5年連続Bクラスだったオリックスを2位に導く活躍を見せた。だが、クライマックス・シリーズ(CS)ファーストステージで敗退。試合後、糸井は「来年こそはこのチームで優勝したい」と唇を噛んだ。そしてオフに、今シーズンのキャプテンを打診され、快諾した。

「この広い背中で引っ張ります」

 キャプテン就任直後、糸井は力強くそう宣言した。チームはこれまで2010年から2012年は後藤光尊(現・楽天)が、2014年は坂口智隆がキャプテンを務めた。他球団からの移籍選手が就任するのは糸井が初めてだ。

 これまでの野球人生でキャプテン経験のない糸井が、理想のキャプテンとして挙げたのが元日本ハムの稲葉篤紀氏だ。稲葉氏も2005年にヤクルトスワローズから日本ハムへ移籍してのキャプテン就任。移籍を経て新加入したチームの柱になったという経緯は糸井と重なる。稲葉氏がキャプテンとなった2009年。野手転向3年目を迎えた糸井はまだレギュラー定着にはいたっていなかった。糸井は当時をこう振り返る。

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