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野球人生初のキャプテン。オリックス糸井嘉男の「苦悩の1カ月」 (3ページ目)

  • 波佐間崇晃(オリックス・バファローズ球団映像アナンサー)●文 text by Hazama
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 嫌な流れを断ち切りたい本拠地開幕カードだったが、ここでも日本ハムにまさかの3連敗。この時点で1勝8敗となり、わずか9試合で借金は7まで膨れ上がった。糸井自身も調子が上がらず、打率は1割台をさまよっていた。

 日本ハムとの3連戦を終えたあと、糸井は室内練習場にこもり、3時間ほど打撃練習を行なった。そしてその翌日、野手はオフだったが、糸井は投手練習が行なわれるほっともっとフィールドに姿を見せた。この日も数時間にわたって一心不乱にボールを打ち込んだ。帰り際に糸井が口にした「しょぼいキャプテンやから……」というひと言に、背負っているものの大きさと重みを感じた。

 チームの連敗ストップを期して臨んだ4月7日のロッテ戦。オリックス・西勇輝、ロッテ・石川歩の両先発の投げ合いとなったこの試合は両者譲らず、1-1の同点のまま9回裏、オリックスの攻撃を迎えた。この回からマウンドに上がったロッテの守護神・西野勇士は2者連続で三振を奪うが、二死から竹原直隆に死球を与える。打席には、この日まだヒットのない駿太。2ボール2ストライクからの5球目、高めの変化球を振り抜くと、鋭く伸びた打球はライトの頭上を越えた。竹原が一気にホームを駆け抜けると、駿太は二塁ベース上で右手を大きく突き上げた。糸井は駿太の元へ駆け寄ると、満面の笑みで抱きかかえた。

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