楽天・松井裕樹はこのままリリーフでいいのか？ (3ページ目)

　松井はオープン戦で強打のヤクルト打線と２度対戦し、２イニングを無失点に抑え、６個のアウトはすべて三振（うち空振りの三振は５個）という完璧なピッチングを見せた。ヤクルトの杉村繁チーフ打撃コーチにも話を聞いてみた。

「攻撃する側からすれば、ここぞという場面で三振を取れるピッチャーが嫌なんです。バットに当たらないとノーチャンスだから。松井は、その三振が取れる投手だよね。速い真っすぐ、鋭く曲がるスライダー、そして今年はチェンジアップが素晴らしい。何より、腕の振りがいい。この先、チェンジアップの精度が高くなると、バットに当てるのはさらに難しくなるんじゃないかな」

　技術的に見て、松井にリリーフの適性があることはわかってきた。だが、リリーフというポジションは精神的にもタフじゃないといけない。現在、中日のクローザーとして活躍している福谷浩司がこんな話をしてくれた。

「クローザーに向いているのは、気持ちの切り替えが即座にできる人だと思っています。リリーフの失敗は、チームと先発投手の勝ちを消すことにつながります。先発投手ならば、失敗しても次の登板まで１週間ありますし、相手も違ってきます。でもリリーフは、同じ相手に投げることが多くなるので、即座に気持ちを切り替えられないようでは長いシーズンを戦うのはキツイと思います」

　そのあたり、松井はどうなのか。チームのエース・則本昂大は松井についてこう語る。

「落ち込むとシュンとなるんですが、しばらくすればあっけらかんとしている。そのへんはうまく切り替えられるタイプだと思います。それにアイツは、調子に乗せるとどこまでも力を発揮します（笑）」