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栗山監督が語る大谷翔平「アイツは昭和の野球選手」 (5ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

―― ピッチャーとして、今年が肉体的ピークに達する年齢だとしたら、野球年齢、つまり今の技術的な成熟度はどんなふうに見ているんですか。

「それはまだまだだよ。だって、いきなりバランスを崩して立ち直れなくなったりすることがあるでしょ。自分が制御不能な状態に陥(おちい)ったとき、こうすればいい球が投げられるという引き出しが少ないよね。自分をコントロールするためには経験が必要だから、そこは仕方ないけどね。それでも立て直せない中でも試合は壊さないし、崩れたあとのイニング、点を取られなくなる。ただ、大谷翔平は試合を作るなんて次元で満足していいピッチャーじゃない。お前、3点も4点も 取られてる場合じゃねえだろって、そういうピッチャーにならなきゃいけないんだ。どんなに悪くても『うわっ、大谷が久々に初回、1点取られたよ』って感じにならないと」

―― それこそ、昔の"大エース"ですね。

「アイツ、意外に昭和の野球選手だから(笑)。考え方は今っぽいんだけど、感じ方が昭和っぽい。食うか食われるか、やられるかやっつけるかみたいなところの悔しさの出し方が、肉食系なんだよね。それって昭和っぽいでしょ。オレはそういうのが好きだからさ。命懸けでやる、必死にやる、今日やられたら終わりだと思ってやる......そういう感じが翔平にはあるよね。怒るとオレの話、全然聞いてないとか、すっごいわがままを言い出すとかね。もっと試合出たい、もっと投げたい、交代したくない(苦笑)。でも、それでいいよ。オレは"感じ方"と"考え方"は違うものだから分けて考えろってよく言うんだけど、翔平はそこがきちんと分かれている。感じ方は動物的、考え方は大学教授......そんなイメージかな」

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