躍動するベテラン、伸び悩む若手。「新成」巨人の誤算

  • 高松正人●文 text by Takamatsu Masato
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「新成」をスローガンに掲げ、新たなるチーム作りを目指した2015年の巨人。しかし、ここまで結果を残しているのは、百戦錬磨のベテランたちだ。特に、高橋由伸と井端弘和の今年40歳になるふたりがオープン戦で好調を維持し、3月27日の開幕戦(DeNA戦)でスタメンに名を連ねようとしている。

今年からコーチ兼任となった高橋由伸今年からコーチ兼任となった高橋由伸

 本来なら、将来の巨人打線を担う大田泰示や橋本到らの成長を待ち望んでいた。原辰徳監督は彼らを筆頭に若手の台頭を望み、チャンスを与えてきた。しかし、思い描いているような世代交代はならなかった。

 原監督が掲げた「新成」には、これまでチームの主力として支えた選手に頼らないという意味が込められていたが、その一方でもうひとつの狙いがあったように思える。それが、「頼らない」と公言された主力たちに奮起をうながすことだ。

 3月3日、日本ハムとのオープン戦。すでに開幕投手が決定している日本ハム・大谷翔平に対して、巨人打線がどう挑んでいくかに注目が集まった。そんな中、印象に残ったのが高橋と井端のバッティングだった。

 1回表、巨人の攻撃。1点を先制し、なおも二死二、三塁で6番の高橋が大谷の152キロのストレートを逆らわずにレフトに弾き返した。「いい方向に打球が飛んでくれた」(高橋)というボールはレフト・西川遥輝の頭上を越える二塁打となった。

 続く井端も、大谷の148キロのストレートを逆方向に打ち返し、一、二塁間を抜けるタイムリーヒット。高橋が生還した。大谷のストレートに力負けしなかったのは、キャンプ中に160キロのバッティングマシンを打ち続けた成果でもあった。

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