楽天のルーキー・安樂智大が松井裕樹に見せた「裏の顔」
2013年の日本一から一転、昨年は最下位に沈んだ楽天。どん底に沈んだチームの注目度は低くなるのが世の常だ。2月1日、一軍キャンプが始まった沖縄・久米島野球場は閑古鳥が鳴いているかと思いきや、駆けつけたファン817人、取材に訪れたメディアは150人に及んだ。そのほとんどの視線は背番号20を着けた楽天のドラフト1位ルーキー・安樂智大に注がれた。
久米島キャンプでは昨年のドラフト1位・松井裕樹(右)と一緒に行動することが多かった安樂智大
中学時代に球速135キロを出した安樂は済美高校に進学し、1年夏で148キロをマークすると、翌春のセンバツで準優勝。大会5試合通じて投げた772球という球数は、日米を巻き込んでの「投げすぎ論争」を巻き起こした。同年夏の愛媛大会準決勝で球速157をマーク。甲子園春夏連続出場を果たすと、初戦の三重戦では大会最速タイの155キロを記録した。安樂はいつしか「平成の新怪物」と呼ばれるようになり、右ヒジの故障はあったものの、昨秋のドラフト会議ではヤクルトとの2球団競合となった。素材としては文句なしのドラフト1位。注目が集まるのも無理はない。
「緊張とかはしなかったです。今までもしたことがないので」
一挙手一投足を追われたキャンプ初日の練習を終えて安樂が発した言葉だ。安樂は2年目の左腕・松井裕樹に手順を説明してもらいながら、アップからキャッチボール、投内連係と順調に練習をこなしていった。一軍キャンプにただひとりの高卒ルーキーとして抜擢され、周りは年上ばかり。気疲れしても仕方ない環境だが、ときどき笑顔も見せながら堂々とした態度を見せていた。「緊張はしなかった」という言葉に嘘はないようだ。
キャンプ4日目で恒例の声だしに指名された際には、「今年の目標は開幕一軍。新人王を獲りたいです!」と宣言。練習後の取材でも「開幕から一軍にいないと新人王も2ケタ勝利も無理だと思います」と高い目標を設定した。
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