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いよいよ開幕。日本シリーズは今年もベイスターズ祭り!? (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

 それにしてもベイスターズを出た選手が移籍先でチームに貢献し、リーグ優勝や日本一を経験するというケースが、なぜこれほど多いのか。冒頭で紹介した村田、石井、藤田、斎藤、福山。さらには内川、吉村、高宮、鶴岡。その他にも、谷繁元信、佐伯貴弘、小池正晃、タイロン・ウッズ(すべて中日)、相川亮二(ヤクルト)、多村仁志(ソフトバンク)……。

 現在、DeNAの打撃コーチを務め、自身も現役時代はベイスターズから中日に移籍し、のちに2度の日本シリーズを経験した小池は次のように語る。

「強いチームというのは意識が違います。球場に入ってから出るまで、常に野球のことを考えている。ベンチ裏では相手ピッチャーのビデオ映像が流れていたり、試合が終わったら次の日の対戦相手の情報を調べたりするのは当たり前。以前の横浜は、ビデオを見たりする選手はいたけど、選手同士で野球の会話をする機会は少なかった。情報を共有するという意識が低かったのかもしれませんね」

 ファンとしても、かつてベイスターズにいた選手が他の球団に移籍して活躍するというのは心中複雑だ。大洋ホエールズ時代からファンだという30代男性はこう語る。

「FAでベイスターズを出ていった選手は野次の対象ですけど(笑)……トレードや人的補償など、本意でなくチームを去った選手は純粋に頑張って欲しいと思っています。昨年の藤田にしても、日本シリーズで活躍することができて良かったなって。ただその一方で、どうしてこれらの選手の才能を開花させることができなかったのかと、球団に対して腹が立つことが何度もありました。だから、彼らを応援しつつもどこか冷静に見られないところがあったのですが、今年はちょっと違うんです。だって、DeNA体制になってから、明らかにチームが変わったと思っていますから」

 昨年に続き、5位でシーズンを終えたベイスターズだが、同じ5位でも昨年とは内容が違う。投手陣が我慢して踏ん張れば、打線は打つべき人が打つ。しぶとく勝ち抜くチームに変貌しつつある。チーム内の雰囲気も明るくなり、一体感や共通した認識が選手同士にあると感じられる。そして、フロントもまたチーム作りに熱心だ。

 小池コーチの懸念を払拭するように、この調子でチームが成長していけば、これまでのように才能を開花させぬまま選手を放出するということは、今後、減っていくのかもしれない。ということは、他球団ではなくベイスターズで選手が幸せになる日は近い!? いずれにしても今は、元ベイスターズ戦士たちの日本シリーズでの活躍を期待したい。

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