巨人の秘密。内海哲也の統率力が投手陣を蘇らせる (3ページ目)

  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 そして内海との思い出で忘れられないのが、巨人に移籍した2012年の交流戦のある日の出来事のことです。

 この日は、楽天との試合でKスタ宮城(現・コボスタ宮城)に行っていました。一塁ファウルグラウンドでアーリーワーク(早出練習)をしていると、私のところに楽天の関係者の方があいさつに来て、「お前はウチに残ってほしかったんだよ。でもいいな、ジャイアンツのユニフォームを着て」と言ったんです。

 その方がいなくなった後、やり取りを聞いていた内海が少しムキになって僕にこう言いました。「(中谷)仁さん、ありえないですね」と。続けて「普通ね、チームに残ってほしいと思うんだったら残すでしょう。社交辞令とはいえ、あれはないです。見返してやりましょう」と熱い言葉をかけてくれたんです。巨人に移籍して数カ月しか経っていなかったのに、そんなことを言ってくれたことに感激したのを今でも覚えています。

 私が裏方になっても、接し方は何も変わらなかった。人として尊敬できる意識、考え方を持った選手です。私が巨人を辞める時、いろんなことを察してくれたのでしょうね。内海は多くを語らず、「仁さん、巨人に残ってくださいね」とだけ言ってくれた。それだけで私は嬉しかった。選手としてだけでなく、ひとりの人間として尊敬しています。頑張れ、内海!

つづく

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