2014.10.13

巨人の秘密。内海哲也の統率力が投手陣を蘇らせる

  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

エースの響き~ブルペン捕手・中谷仁が見た「超一流の流儀」
巨人・内海哲也(1)

 中谷仁です。私は1997年のドラフトで阪神から1位で指名を受け入団し、その後、楽天、巨人でもプレイしました。2012年まで現役を続け、昨年は巨人のブルペン捕手として チームのリーグ優勝を見届けました。この16年の間、実に多くの投手の球を受けてきました。そこで、実際に受けた経験をもとに、超一流と呼ばれるエースたちの素顔に迫りたいと思います。今回は、2011年、2012年にセ・リーグ最多勝に輝き、昨年もチーム最多の13勝をマークした巨人のエース・内海哲也についてお話させていただきます。

2011年、2012年と2年連続して最多勝に輝いた内海哲也

 巨人投手陣の精神的支柱である内海哲也ですが、今季は開幕から9戦白星がつかないなど、苦しい1年になりました。決して調子が悪かったわけではないのですが、責任感が人一倍強い内海ですので、「結果を出さなきゃ」という思いが強すぎたのかもしれません。そのため、いつもの大胆さが消え、窮屈なピッチングになってしまっていたような気がします。ただ、後半戦は内海らしいピッチングが戻ってきましたので、クライマックス・シリーズ(CS)が楽しみですね。

 内海は言葉でも行動でも、巨人の投手陣を引っ張っている真のリーダーです。私が2012年に楽天から巨人に移籍して感じたのは、投手陣の仲がものすごくいいということでした。グラウンドだけなく、プライベートでも仲がいい。それも馴れ合いではなく、誰かが間違った方向に進もうとしていたら、「それは違う」と言い合える雰囲気がありました。その中心にいたのが内海でした。

 チームの主力であるぐっさん(山口鉄也)にもはっきりと言いますし、若い選手が少しでもスキを見せると、ビシッと注意する。小山雄輝が一軍で勝利した後、これまでとは少し違う態度に見えたんでしょう。内海は小山に「へぇ~、1勝したらそんな態度になるんや。偉くなるんや~」とわざと大げさに言う。周りは笑いに包まれますよね。でもその中に、「巨人軍のピッチャーたるものが、そんな甘い考えでいてもらっては困る」というメッセージが込められているんです。

 その言い方、タイミングが絶妙なんです。遠まわしに冗談っぽく言えるあたりが、内海の素晴らしいところ。世代によっては、厳しくストレートに言うと、へこんだり、へそを曲げたりする投手もいます。でも、内海は家族に言うような感じで、叱咤激励にも愛情がある。だから言われた方も、ちゃんとしなきゃと思うんです。

 プロ野球選手、特に投手は我の強い選手が多いんです。自分の成績のことばかり考えている人間が結構いるのですが、内海はみんなで戦っていこうという仲間意識が強い。