23年ぶりセ界制覇はあるか? 広島逆転Vの条件を問う (2ページ目)
スケジュールにも注目すると。
「巨人との3連戦が終われば、あとは大きな連戦はなく、とびとびの日程になる。そうなったら、先発を6人で回す必要はない。誰かを飛ばしてマエケン、ヒースという起用もあるだろう。追いかける広島はそれぐらいのことはやらないと」
投手は新戦力の台頭もあって、少し余裕が出てきたが、問題は打線。9月上旬の巨人との連戦でも、塁上をにぎわしながら、なかなか点にはつながらず、ファンをやきもきさせた。
「エルドレッドが春先の状態にあれば苦労はないんだけど。今は菊地、丸のふたりが生命線。3番、4番に置いたこともあったが、やはりふたりは2番3番で塁に出てかき回す役が合っている」(北別府氏)
この中心はいじらずに周りの奮起を期待するというわけだ。小早川氏は打線の現状をネガティブには見ていない。
「たしかに巨人との3連戦では、守備・走塁でミスが出て、あとひと押しが効かなかったが、あれだけ塁上をにぎわしたということは戦力では負けていないという証明でもある。ミスが出たのは優勝経験の差。でも、ある意味、いい時期に躓(つまず)いたとも言える。今度の最後の3連戦で同じような負け方をしたら、時期的に致命傷になっていた。先の3連敗を教訓にすれば、差は埋めて行けるし、取り戻せる。走れる選手も多いし、巨人にだって中継ぎ、抑えの投手の不安はある。そこをついて直接対決を勝ち越せば、まだまだ逆転の可能性は十分だ」
今年の広島ファンは例年以上に熱い。
「春先の好調で期待が一気に高まった。選手もいい意味で常に注目され、プレッシャーを力に変えてきた。また、この前の広島土砂災害では大きな被害が出たが、それだけにカープに奮起してもらって力づけてほしいという気持ちがファンの中にはある。選手もそれは十分に分かっているだろう」(北別府氏)
北別府氏も小早川氏も23年前の美酒を知っているだけに、期待を込めて、ラストスパートを見つめている。それだけに、2人の口調もおのずと熱を帯びていた。
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