恩師が語る「2014年の大谷翔平に期待すること」

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 オリックスとの開幕シリーズ3試合で、日本ハムの大谷翔平は14打数5安打2打点の活躍を見せた。そのバッティングは、大谷が持つポテンシャルの高さを証明するには十分だった。

今季初登板となる4月3日のソフトバンク戦でどんな投球を披露するのか楽しみだ。今季初登板となる4月3日のソフトバンク戦でどんな投球を披露するのか楽しみだ。

 今シーズン、大谷に対するチームの育成方針は明確だ。「ピッチャー優先」を推し進め、春季キャンプではシーズン中のローテーションを意識した練習メニューを組み、オープン戦ではマウンド優先で出場機会を与えた。その一方で、バッターとしての練習量は昨シーズンと比べて格段に減った。そんな中で残した開幕シリーズでの数字。開幕戦での2年連続マルチ安打と打点は、高卒の野手としては史上初。そして3戦目には、自身プロ初となる猛打賞(3安打)を記録した。高卒2年目の19歳が見せたパフォーマンスに、大谷の底知れぬ能力を感じずにはいられない。

 かねてから、その対応力は図抜けていた。証言するのは、恩師である花巻東高校の佐々木洋監督だ。

「高校入学当初のバッティングは、変化球に対してクルクルとバットが回っていました。でも、慣れていったら難なく対応するようになった。その能力は、やはり高いですよね。経験値が上がることで、しっかりと結果を出していく力はあると思います」

 経験値ということで言えば、賛否両論がありながらも二刀流を貫き通した昨シーズンも、大谷とってはプラスの要素が多かったはずだ。教え子のプロ1年目を恩師はこう振り返る。

「プロに入って『どうなるかな?』と思って見ていましたが、シーズンを通してチームや先輩方に支えられて一歩ずつ成長できた1年だったと思います。ピッチャーとしては、まだ体ができておらず、10勝できるようなピッチャーではないとわかっていながら、マウンドに上げていただいた。打つ方でも、シーズンに入ってから、バッティングを研究されてチェンジアップ気味のボールで攻められ、そのボールを意識すると今度はインコースを攻められるなど苦しんだ。それでもシーズンを通して使っていただいた。大谷にとっては本当に勉強になった1年だったと思います」

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