監督にも迷い!? このまま大谷翔平は「三刀流」を目指すのか?

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 青柳憲司●写真 photo by Aoyagi Kenji

 喜ぶべきか、嘆くべきか。

 開幕戦の札幌ドームで、3番ライトに入った大谷翔平のバッターボックスでの構えを見て、驚いた。

 重心が低く、どっしりしているのだ。下半身もさることながら、上半身がものすごく厚みを増しているように見える。

2年連続開幕戦でマルチ安打を記録した大谷翔平。2年連続開幕戦でマルチ安打を記録した大谷翔平。

 いいじゃないか、体がどっしりしていることのどこが嘆くべきだというのか。

 大谷が野手なら、それでいい。

 しかし、大谷は投手でもある。

 肩周り、胸の筋肉が増えすぎると、可動域が狭まり、しなやかな動きが出来なくなるリスクがある。思えば今年のキャンプの序盤、栗山英樹監督がこんな話をしていた。

「初日の翔平のブルペン、見た? いやぁ、ビックリした。コイツ、何やってんだって思ったよ(苦笑)。それほど、バランスが悪かったからね。フォームがバラついて、そのバラつきがボールにそのまま出ちゃう。もともと翔平は、自分から動きを作るのがうまくない。反応する方がうまいんだよ。やっぱりタイプ的に動きが野手っぽいんだね」

 翔平は練習しなくても、平気で3割打てちゃうよと、栗山監督はかねてからそう話していた。だからこそ、このオフは大谷を投手の色に染めて、練習メニューも中6日のローテーションを守ることを最優先に組んできたはずだった。しかし大谷が自ら取り組んできたトレーニングは、野手向きの筋力アップをもたらしていた。キャンプ当初の栗山監督は、大谷を守らせたくないと話していたほどだったというのに。

「うん、守らせたくない。いっぺんに全部やってもらうのは無理だからね。去年は翔平に『ピッチャーと野手をやってくれ』と言ったけど、今年は『ピッチャーとバッターをやってくれ』と言ってる。となると、打つ方はDHということになるんだけど、ウチには稲葉もミランダもアブちゃんもいるし、いろんな兼ね合いがあるからね。普通に考えれば翔平がライトを守るのがいいんだけど、それが先発ピッチャーとしての進行を妨げる可能性があるのなら、野手は二の次、三の次というふうに考えなきゃと思ってるよ」

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