セ・リーグ新時代の幕開け。
開幕戦を託された3人の2年目投手

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

 2014年プロ野球ペナントレースがついに開幕した。エースたちがしのぎを削る開幕のマウンドに、セ・リーグはフレッシュな顔が並んだ。チームの顔というべき開幕投手の大役を任された菅野智之(巨人)、小川泰弘(ヤクルト)、三嶋一輝(DeNA)の3人は、いずれも入団2年目の投手たちだ。

2回9失点とほろ苦い開幕投手デビューとなったDeNAの三嶋一輝。2回9失点とほろ苦い開幕投手デビューとなったDeNAの三嶋一輝。

 プロ2年目の投手が開幕を務めるのは、そうある話ではない。ルーキーイヤーに活躍したとしても、翌年同じような働きができるとは限らない。ましてや開幕投手に指名されるということは、他チームのエースと投げ合わなければならない。その中で結果を残すのは容易なことではない。

 ではなぜ、2年目の彼らが開幕投手に指名されたのか。そこには三者三様のドラマがあった。

 当初、巨人の開幕投手にはこれまでの実績や経験から、エースの内海哲也を推す声があった。しかし、オープン戦で菅野が防御率2.37だったのに対し、内海は6.88。原辰徳監督は「チームの中で彼(菅野)がふさわしいということ。彼が勝ち取ったということです」と菅野を開幕投手に指名した理由を明かした。

 近年の巨人は澤村拓一や宮國椋丞ら若手の台頭はあっても、絶対的な存在にはなれずに伸び悩んでいるケースは少なくない。その中で、菅野はルーキーながらチーム最多タイの13勝を挙げ、日本シリーズでは楽天の田中将大(現ヤンキース)に投げ勝つなど、次世代のエースを予感させる活躍を見せた。その菅野に、エースとしての帝王学を学ばせたいという首脳陣の思いもあったのだろう。

 阪神戦は3回に味方の失策からピンチを招き4点を先制されたが、その後は粘り強いピッチングで得点を許さず、勝利投手となった。ちなみに、入団2年目の巨人開幕投手が白星を挙げるのは、1960年の伊藤芳明以来、54年ぶりの快挙だった。

 試合後、菅野は「疲れました。先輩方に助けられっぱなしだったので、次は自分が助けられるようにしたい」とホッとした表情を見せたが、原監督は「この緊張感の中で貴重な時間を体験した」と新エースの好投に手応えを感じていた。

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