松井裕樹が超一流の投手になるための3カ条

  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

吉井理人の「投究論」 第7回

 球団創設9年目で初めての日本一に輝いた楽天に、来季、楽しみなルーキーが加わります。ドラフト会議で5球団から1位指名を受けた、桐光学園の松井裕樹投手です。昨年の甲子園では今治西戦で大会史上最多となる22奪三振をマークしましたが、あれだけ三振が取れるのは高い技術を持っている証拠。バッターが「スライダーが来る」とわかっていても空振りするボールを投げられるのは、ピッチャーとして大きな魅力です。

2年夏の甲子園では、4試合で68個の三振を奪った松井裕樹。ドラフトでは5球団から1位指名を受けた。2年夏の甲子園では、4試合で68個の三振を奪った松井裕樹。ドラフトでは5球団から1位指名を受けた。

 現時点の実力で、プロで何勝できるかはわかりませんが、少なくともゲームを作ることはできると思います。ただし、長く活躍するためにはしかるべき準備が必要になってきます。

 ルーキーは、「プロで1年間投げる"体力"をつけなければいけない」とよく言われますが、ここでいう"体力"とは、いいフォームを再現し続けるための筋力のことです。シーズンを過ごす中で疲れがたまってくると、フォームが乱れ、調子を崩す原因になります。それに故障にもつながります。でも、しっかりした筋力があれば、早く疲労を回復できますし、自分のフォームを再現できる精度が高くなります。

 トレーニングやピッチングをすれば、ある程度のスタミナをつけることはできます。ただ、先発した試合で120球投げて、次の登板機会までの数日間で回復させて、また同じように先発として仕事を果たせるようになるには、その作業を繰り返しやっていくことが必要になります。先発ローテーションを1年間守るには、それを繰り返すことができる筋力が求められるのです。

 今の松井投手のフォームを見て、体のどこかが弱いという印象は受けません。それでも、全体的にもっと強化していったほうがいいと思います。体が強くなれば、もっといいフォームで投げられるようになりますし、ケガもしにくくなりますからね。

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