西武ドラフト1位・森友哉は「打撃の神様」になれるか?

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 岡沢克郎●写真 photo by Okazawa Katsuro

プロ野球「行く人、来る人」2013

「ボールが止まって見えることは?」

 川上哲治氏の逝去から数日、"打撃の神様"が残した格言について、森友哉(大阪桐蔭高)に聞いてみた。

大阪桐蔭高時代は4度の甲子園に出場し、2度の全国制覇に貢献した森友哉。大阪桐蔭高時代は4度の甲子園に出場し、2度の全国制覇に貢献した森友哉。

「さすがにそれはないですけど、調子のいい時は、ボールがバットに吸い込まれてくる感覚はあります。ボールの軌道が投げた瞬間に見えるというか、そのラインにバットの芯を持っていけば絶対に打てるんです」

 大阪桐蔭高で約20年に渡り指導を行なっている西谷浩一監督が、「捉える能力なら、これまで見てきた中で間違いなくトップ」と太鼓判を押す。その教え子には、中村剛也(西武)、西岡剛(阪神)、中田翔(日本ハム)、浅村栄斗(西武)など、錚々たる顔ぶれが並ぶが、その中でも森が断トツだと言う。

 森は甲子園に4度出場し、15試合で55打数26安打、打率.473、5本塁打と圧倒的な数字を残してきた。また、大阪府大会や近畿大会、さらには全日本でも4割は当たり前、時には5割を超す高打率を誇った。

 高校通算41本塁打にしても、西谷監督は「本人に狙う気があれば、もっと打てていたはず」と言う。だが、森は一発よりもアベレージにこだわってきた。

「1本のホームランより、ヒット3本の方が嬉しいですね。場面によっては一発を狙う時もありますが、そういうことをするとバッティングの形が崩れる。もっと身長があれば、もっとホームランを意識したのかもしれないですけど......」

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