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西武ドラフト1位・森友哉は「打撃の神様」になれるか? (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 岡沢克郎●写真 photo by Okazawa Katsuro

「中田さんって、何年目で一軍に出たんですか?」

 そう訊かれ、「2年目に22試合に出場して9本塁打。戦力になりはじめたのは3年目から。でもイースタン・リーグでは、1年目の6月に左手首を骨折したけど11本塁打。2年目にはリーグ新記録の30本塁打に95打点を挙げて二冠王になった」と答えると、「やっぱり違いますねぇ……」と、森は大きくため息をついた。

 さらに、オリックス時代のイチロー(現・ヤンキース)も、高卒1年目からウエスタン・リーグで打率.366で首位打者を獲得していると告げると、「無理っす。絶対に無理っす」と、2、3度首を横に振った。では、森はどんなプロ1年目をイメージしているのだろうか。

「とりあえず1年目はプロ野球の世界に慣れることですね。それで、シーズン終盤に一軍の雰囲気を少し味わえたらいいです」

 一部報道では、「開幕一軍」「炭谷(銀仁朗)さんに負けません!」という威勢のいい森の言葉が出ていたが、「あれは何ていうか、建前でつい……」と笑った。だが、グラウンドに立てば顔つき、雰囲気が一変するのが森であり、それこそプロの世界で成功を続ける大阪桐蔭出身者の共通項である。

 今のところ西武は、「ファームで捕手として経験を積ませて育てる」という方針を打ち出しているが、いざ森のバッティングを見れば、一軍で使いたくなるのではという気がしてならない。

 さすがに、正捕手である炭谷を差し置いていきなり捕手で……というのはケガでもない限り考えにくいが、チームを見渡せば、FA宣言した片岡治大(主にセカンド)や、現時点で残留が微妙なヘルマン(主にサード)など、来季の布陣はまだ決まっていない。捕手で育てたいという球団の思惑はあるかもしれないが、浅村の例もある。浅村は打撃を最優先させるために、本来のポジションであるショートから、ファースト、外野、DHにコンバートされている。森もキャッチャー以外のポジションで試合に出ることは十分に考えられる。もちろんその先には、中村、浅村、森と大阪桐蔭OBのクリーンアップの期待もかかる。

「期待しすぎです(笑)。もちろん、1年目から活躍できればそれに越したことはないですけど、長く活躍できる選手になるのが一番。まずは、できることからしっかりやっていきたい」

“打撃の神様”川上哲治氏がこの世を去り、“孤高の天才”前田智徳がバットを置いた。彼らと入れ替わるようにプロの世界に飛び込んできた希代(きたい)のヒットメーカーは、彼らのように一目置かれる存在になることができるだろうか。打席にさえ立てば――きっと驚きの結果を残しそうな気がしてならない。

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