検索

かつてのVメンバーが語る、宮本慎也の秘密 (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • 日刊スポーツ●写真 photo by Nikkan sports

 しかし、池山が予言した通り、入団2年目の1996年、シーズン後半から宮本がショートに固定され、池山はサードに回ることとなった。

「足のケガ(アキレス腱痛)を悪化させてしまったこともあったしね。ショートのポジションを奪われたことに関しては、納得していました。(宮本)慎也も成長していたし、これなら安心して任せられるなって。僕にないモノを慎也は持っていたし、僕が持っているモノを慎也はすべて持っていましたから」

 同じく当時チームメイトだった飯田哲也は言う。

「難しいプレイでも、慎也がやると簡単に見えてしまう。他の選手がギリギリ追いつく打球でも、慎也は正面に入って処理できる。一歩目のスタート、ポジショニング、すべてが完璧でした。最後まで守備はチームでナンバーワンでした」

 池山も続く。

「例えば、ピッチャーの頭を超えてセンターに抜けそうな打球があるじゃないですか。その時、捕球したら普通は踏ん張って一塁へ投げるのですが、慎也はクルッと1回転して送球するんです。その方がスピードも落ちないし本当はいいのですが、一度、一塁から目を切って投げるのはすごく難しいんです。だけど慎也は、いとも簡単にそれをやってしまう」

 その一方で、バッティングはどうだったか。打者として一流の証である2000本安打を達成している宮本だが、入団当初はほとんど期待されていなかったという。野村監督も宮本に「脇役に徹しろ」とアドバイスするなど、チームバッティングを命じた。再び池山の証言。

「バッティング練習で、僕らが気持ちよくガンガン打っている時も、慎也はバントや右方向に打つ練習ばかりさせられていた。そんな練習ばかりしていた選手が、まさか2000本安打を達成するなんて、誰も想像できなかったと思います。ただ、慎也にはよく激励のつもりでこう言っていたんです。『打てるようになれば、すぐ1億円稼げるよ』って」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る