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まさに夢の球宴。今年は「因縁対決」がいっぱい! (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ふたりの「小柄テクニシャン対決」がスタートしたのは、2010年6月。全日本大学野球選手権の準々決勝で鈴木の東洋大学と小川の創価大学が対戦し、当時3年だった鈴木は2年の小川からライトにスリーランホームランを放った。

「もちろん覚えていますよ」

 当時をそう振り返る鈴木は5月18日の交流戦で小川と再戦し、2打数1安打、1四球。しかし、この試合で白星を献上した影響か、小川への警戒を強めている。

「プロ1年目で10勝しているのはすごいですよ。大学の頃とは違うと思います。小さい体を全部使って、キレのいい球を投げてきますから。対戦する機会があればいいですね」

 小川は打者の手元で沈むカットボールやツーシーム、さらにはフォーク、チェンジアップなど多彩な変化球を操るのに対し、鈴木は巧みなバットコントロールが持ち味だ。ふたりには、一流プロのテクニックによる攻防でファンを魅了してほしい。

 プロ入り4年目にして、ようやくオールスター初出場を決めたのが菊池雄星(西武)だ。今季はストレートの威力を取り戻し、前半戦で9勝を飾って防御率はリーグ2位の1.58。菊池は今季、こんな思いを原動力としている。

「来年から大学に進学した同い年がプロに入ってくるので、その前にもう1度、自分のポジションを確立することが大事。自分は甲子園で注目してもらったことで、常に『一番でいたい』と思ってきました。僕は負けるのが一番嫌い。同じ年に生まれたからには、一番になりたい」

 菊池を最も燃えさせる相手は、ファンによるプラスワン投票で選ばれた堂林翔太(広島)だ。打率2割1分4厘の堂林は「こんな成績でも選んでもらえたので、ひとつでもいいプレイをお見せできるよう全力でがんばりたい」と話したが、ファンに期待される理由のひとつは高い潜在能力だろう。しなやかな打撃と逆方向へのパンチ力は、誰もが認める天賦の才である。

 2009年の夏、花巻東の菊池と中京大中京の堂林は甲子園を大いに沸かせた。ふたりはまだプロの一軍の舞台では対戦がないが、「雄星世代対決」がオールスターで実現すれば、大いに注目を集めるはずだ。菊池は6月12日に行なわれた中日戦でノーヒットノーランまであとスリーアウトに迫った9回、捕手・炭谷銀仁朗のサインに珍しく首を振り、ストレートを投げ込んだ。そういった性格を考えれば、堂林にも力勝負を挑むことは想像に難くない。堂林は思い切りバットを振り抜き、後半戦に巻き返すきっかけにできるか注目だ。

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