前半戦総括。小川泰弘、菅野智之、則本昂大...ルーキー投手が「大豊作」なワケ (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Nikkan sports

 また、評論家の与田剛氏の見方はこうだ。

「チーム事情も大きく影響していると思います。今年に限ったことではありませんが、慢性的に投手が不足しているチームが多い。そのため、ルーキーにチャンスが巡ってくるケースが多い。プロは一軍のマウンドで投げて、初めて多くのことを学びます。かつては二軍で結果を残さないとなかなか上がれなかったのですが、今は一軍で経験を積める。今年のルーキーにしても、投げるたびに成長しているなと感じることが多いですね」

 ただ、チャンスを与えられたからといって、誰もが結果を残せるわけではない。一軍で勝てるだけの技術、体力があるからこそ、結果を残しているのだ。昨年まで日本ハムの投手コーチを務めていた吉井理人氏は、最近のルーキーたちの傾向を次のように説明してくれた。

「僕が二軍の投手コーチをしていた2010年頃から感じていたことですが、最近の選手は野球に対する情報をたくさん持っていて、その中で自分にあったものを取り入れている子がすごく多い。体つきもいいですし、技術もしっかりしている。野球のうまい選手が圧倒的に増えています。僕がプロに入ったのは20数年前ですけど、当時はストレートとカーブしか投げられないピッチャーが普通にいました。でも今は、それしか投げられないピッチャーはプロに入ってこないですよね(笑)。そしてコンディショニングです。大学や社会人はもちろんですが、高校生にもコンディショニング専門の人が付いているチームがあると聞きました。プロでやるようなことをアマチュア時代からすでに実践している選手が多い。だから、プロに入っても戸惑うことなく、自分のペースでできる。これは大きいと思いますよ」

 近年はトレーニングやコンディショニングはもちろん、さらにメンタルや食事にまで専門家を設けているチームは年々、増加傾向にあると聞く。こうしたアマチュアチームの取り組みは、ルーキーたちの活躍と決して無関係ではないだろう。

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